B型肝炎は、B型肝炎ウイルスを原因として、世界中で多くの感染者がみられる疾患です。
日本では、約130~150万人の感染者がいると推定されており、毎年1万人ほどが新たに感染しているといわれています。
また、日本の成人におけるB型肝炎の多くは、性感染症であると考えられています。
放置してしまうと、重症化や最悪の場合は命に関わる状態になる可能性があり、早期発見と治療が欠かせません。
こちらの記事では、B型肝炎の症状や原因、検査、治療法や予防方法について詳しく解説します。
目次
B型肝炎とは
B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することで起こる肝炎です。
このHBVは、主に人の体液や血液の中に存在しているウイルスであり、薬物中毒の患者や医療従事者、同性愛者、さらに感染している母親から子への感染が多いことが特徴的です。
B型肝炎は、一過性および持続性の感染症であり、急性B型肝炎の約10~20%は慢性肝炎に移行するリスクが高いとされています。
さらに、急性肝炎を放置していると、劇症肝炎や肝硬変、最悪の場合は肝がんにまで進展する可能性があり、重症化する患者が多くみられる疾患でもあります。
また、HBVに感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、約1~6ヵ月です。
最長でも6ヵ月の長い潜伏期間があるため、症状が出る頃には感染経路を把握することが難しい場合もあるでしょう。
男性のB型肝炎の症状
HBVに感染した場合、症状や予後については患者さんの免疫機能によって異なるといわれています。
乳幼児期に母親から血液を介して感染した場合は、その多くが一生感染した状態が続く、持続感染となり、成人になってから状態が変わることがあるでしょう。
一方、成人の男性がHBVに感染しB型肝炎になった場合は、次のような症状がみられます。
- インフルエンザ様症状(発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、吐き気、嘔吐など)
↓1~7日後
- 灰白色便、暗色尿、黄疸(眼球や皮膚が黄色になる)、約10~20%は血清病様症候群(皮疹、関節痛、多関節炎など)
↓4~8週間前後
- 症状は消失
↓
- 80~90%は治癒、残り10~20%は慢性肝炎に移行し、肝硬変や肝がんの原因となる
B型肝炎は、他の肝炎に比べて慢性化・劇症化しやすい疾患であることが特徴的です。
男性のB型肝炎の原因
B型肝炎の原因として、主にB型肝炎ウイルスを保有している人の体液や血液を介して感染することが挙げられます。
では、その感染経路について具体的に説明していきます。
主な感染経路
B型肝炎の主な感染経路は、母子感染と血液や体液感染の2つに分けられます。
国内には約130~150万人のHBV感染者がいますが、そのほとんどは、母親からの血液が胎盤を経由して胎児に感染する母子感染(垂直感染)によるものです。
一方で、成人男性がB型肝炎にかかる原因の多くは、性感染症によるものといわれています。
同性愛者や不特定多数と性行為をすることで、HBVに感染することが多いでしょう。
性行為によって感染するため性感染症の1つと判断され、血液感染または体液感染と呼ばれています。
HBV感染者の血液に触れることや感染者の体液が自分の粘膜から感染し、そこから肝臓に向かってウイルスは侵入します。そして、さまざまな症状が現れるようになります。
ただ、HBVの潜伏期間は最長で6ヵ月と長いため、それまで症状がない場合は自分でも気付かないことがあるでしょう。
その間に違う人と性交渉を行ったり、血液を介して家族内に感染したりと、感染を拡大している可能性もあります。
男性のB型肝炎の検査
HBVの感染を確認するためには、血液検査によりウイルスマーカーを調べる方法で診断していきます。血液感染や体液感染などの感染機会があってから、約8週間経過したタイミングで検査を実施することになるでしょう。
この場合、即日検査が可能で15分で結果が分かります。
それより早い時期は、検査しても陰性と結果が出る場合があるため、検査の時期は医師と相談することになるでしょう。
ただし、感染機会から35日経過していれば精密検査の実施は可能であり、およそ4~5日後に結果が分かるようになっています。
ほとんどの場合は、急性B型肝炎の確定診断から行います。
症状が出ていない段階の潜伏期間は、HBs抗原陽性(HBVが血液中にいる)とIgM型HBc抗体陽性がみられれば、急性B型肝炎と確定診断されます。
慢性化や劇症化した場合は、それに伴って症状も現れるでしょう。
血液検査において持続感染を診断するためには、HBs抗原とHBc抗体が持続的に陽性を示すことが指標となります。
男性のB型肝炎の治療
男性のB型肝炎は、急性肝炎と診断を受けた後に肝不全などの劇症化する可能性があるため、早期に適切な治療が必要となります。
成人男性の急性B型肝炎には特別な治療はなく、安静や対症療法を中心に行っていきます。
安静に過ごしながら、発熱や頭痛、吐き気などの症状を抑えていくことが大切です。
しかしながら、急速に状態が悪化してしまい命に関わる病態に進行する可能性を考えて、当院では診断がつき次第、適切な専門の医療施設に紹介しています。
B型肝炎はワクチンで予防が可能
男性が血液や体液感染による、B型肝炎を予防するためには、HBワクチンを接種することが有効的です。
ワクチン接種の対象となるケースは、下記のケースとなります。
- 家族にHBe抗原陽性またはキャリアがいる人
- HBVキャリアの配偶者、パートナー
- HBs抗原陽性の母親からの出生児
- 医療従事者
- 救急救命士や消防士、警察官
原則として、ワクチン接種は3回を1クールとして半年かけて行うことになっており、未然に感染を防ぐためには確実に接種することが大切です。
B型肝炎のワクチン以外の予防方法
B型肝炎は、身近に感染者がいる場合や感染機会が多い職業に従事している場合に、ワクチン接種で予防できます。
しかし、あらかじめ予測できない状況でHBVに感染してしまうこともあるでしょう。
それは、不特定多数の相手と性行為が多い場合であり、感染リスクが高まります。
このような方は、見ず知らずの他人の血液に触れないことや、血液が付着している可能性があるものを共有しないことが大切です。
また、性交渉の際は必ずコンドームを装着することで、体液感染を予防することが可能になります。
神田西口クリニックのB型肝炎治療
当院では、現在B型肝炎に対する治療は行っていません。
血液検査にて、B型肝炎と診断された方には、適切な医療施設を紹介しています。
神田西口クリニックは男性のためのクリニック。
受付スタッフ、看護師、医師すべて男性です。
B型肝炎については、さまざまな情報が溢れているからこそ不安も大きいと思います。
なのでまずは些細なお悩みも、ぜひお気軽にご相談ください。
一人ひとりの症状に寄り添い、オーダーメイドの処置処方を行います。
B型肝炎検査の料金
【検査】
HBV抗体検査 4,500円(迅速検査 6,000円)
男性のB型肝炎についてのよくある質問
B型肝炎はお風呂などで感染することはありますか?
B型肝炎の感染経路は、血液や体液を介した感染です。
そのため、感染者が使用した後に体液が付着している場合や、体液や血液が付着したタオル類を共有している場合は、感染する可能性があるでしょう。
また、感染者と同じカミソリを使用している場合も血液感染のリスクがあります。
B型肝炎は自然治癒しますか?
B型肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎の2つがあり、どちらの状態かによって経過は異なります。
急性肝炎では、ほとんどの方は自然に回復していくでしょう。しかし、中には劇症肝炎を引き起こす方もおり、その場合は完治が難しくなります。
慢性肝炎では、生涯にわたってHBVに感染している状態であり、症状が安定している人や、症状が現れたり穏やかになったりといった状態を繰り返す人がいます。
B型肝炎は不妊に影響しますか?
B型肝炎は、男性不妊に影響を与える可能性があります。
HBVは、精子の動きを低下させて受精率を下げることが知られています。
そのため、HBVに感染した男性は、精子の機能障害を引き起こす可能性があり、不妊に大きく影響すると考えられています。
B型肝炎のワクチンは大人でも打つことができますか?
B型肝炎のワクチンは、大人の場合は約半年かけて3回の接種を受けることが可能です。
身近にHBV感染のキャリアがいる方や不特定多数と性交渉の機会が多い方は、ワクチン接種を済ませておくと良いでしょう。
B型肝炎を放置するとどうなりますか?
B型肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎があります。
急性B型肝炎の場合は、ほとんどが自然に回復しますが、約10~20%は慢性肝炎に移行していきます。
つまり、B型肝炎を放置していると、慢性肝炎から肝硬変や肝がんに悪化し、最悪の場合は命に関わる状態になることもあります。
そのため、放置せずに適切な治療を医療機関で受けることが大切です
感染を疑う場合は早期に検査を受けましょう
男性のB型肝炎は、同性愛者や不特定多数との性交渉により感染することが多いウイルス性肝炎です。
放っておくと慢性肝炎から、肝硬変や肝がんに状態が悪化するリスクが高く、命に関わるケースもあります。
B型肝炎は、ワクチン接種をしたり日頃から感染に注意したりすることで予防できます。ただし、感染機会があった場合は症状の有無に関わらず、検査を受けることをおすすめします。
監修者

神田西口クリニック院長 鈴木 鑑
2003年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。
2014年都内某クリニックにて性感染症診療に従事。
10万人以上の性感染症患者さんの悩みに寄り添い解決してきた実績がある。
2023年神田西口クリニックの院長に就任。
所属学会・資格
- 日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医
- テストステロン治療認定医
- 日本性感染症学会
- 日本感染症学会
- 日本化学療法学会
- 日本メンズヘルス医学会