トリコモナス感染症は、世界で最も感染者が多い性感染症です。
2021年には、世界中で年間7億2,300万人もの方がトリコモナスを発症したというデータが公表されました。
参照:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42033412/
日本ではトリコモナスは患者数把握の調査対象にはなっていないので、詳しい患者数は把握されていません。
しかしやはり患者数は多いと推察され、その数は年間数万人〜数百万人にのぼると言われています。
こちらの記事では、そんなトリコモナスの症状や原因、治療方法や薬などについてご紹介します。
トリコモナスとは
トリコモナス感染症とは、腟トリコモナス(Trichomonas vaginalis)原虫という単細胞の微生物によって引き起こされる性器の感染症のことです。
膣トリコモナス原虫は、人をはじめとした脊椎動物に寄生して生息しています。
トリコモナスは若い人から高齢の人まで幅広く感染者がおり、男性よりも女性が感染しやすいのが特徴です。
妊娠可能な年齢の女性のうち、約20%がトリコモナスであると言われているほど、女性に多く蔓延しています。
また、そのうち20〜50%が無症状であると言われており、感染していることを自覚していない女性がたくさんいます。
男性の場合は、感染しても無症状の場合が多いです。
ですが、中には尿道の違和感など尿道炎を起こすケースも。
また、トリコモナスは淋病やクラミジアなどの他の性感染症と、同時に感染している場合も多くみられます。
男性のトリコモナスの症状
男性がトリコモナスになり、尿道炎を起こすと以下の症状が出ます。
- 尿道のかゆみや痛み
- 排尿時の違和感(ムズムズ感・不快感)や痛み
- 尿道から透明〜白色の泡状(もしくは膿様)の分泌物が少量出る
- 早朝は尿が出にくい、または頻尿
潜伏期間(感染してから症状を発症するまでの期間)は10日前後です。
男性は感染しても50%以上の人が無症状だとされています。
症状が出たとしても、上記まで至らずに尿道の軽い違和感程度で済んでしまう場合も多いです。
稀に炎症が広がり、精巣上体炎や前立腺炎を引き起こすことがあります。一方で、トリコモナスは本来、前立腺や精嚢に棲息していることも多いと言われております。
男性のトリコモナスの原因
男性がトリコモナスになるのは、主に性行為が原因です。
膣トリコモナス原虫は、女性では尿道や膣・子宮頸管(子宮の入り口)に、男性では尿道や精巣・前立腺に寄生します。
感染している相手とセックスをして、性器粘膜同士が接触したり、膣分泌物や精液が性器に触れることで感染するのです。
性行為以外からも感染する
トリコモナスが世界的に患者数が多い理由の一つは、その感染のしやすさにあります。
実はトリコモナスは、トイレの便座、下着、タオル、浴槽などを共有することでも感染する可能性があるのです。
そのため、性行為の経験がない人や幼児でも感染するケースが稀にみられます。
日本では公衆の衛生化が進み、トイレや浴槽などで感染する人は少なくなってきました。
しかし、同じタオルなどを共有して感染する可能性は十分にあるため、注意が必要です。
トリコモナスの検査
男性のトリコモナスの検査は、尿検査で行います。
症状が出る前でも、感染機会(セックス)のあった翌日から検査が可能です。
結果が出るまでに2日程度かかります。
トリコモナスは性質上、尿検査をしても検出されないことがあります。
検査精度を上げるため、2時間排尿していない状態で受診し検査するのがおすすめです。
トリコモナスの治療
男性のトリコモナスの治療は、抗原虫薬の内服治療です。
1日2回の内服を10日間続けます。
抗原虫薬はアルコールとの飲み合わせが非常に悪く、内服中は禁酒することになりますのでご注意ください。
もし内服中に飲酒をすると、吐き気やおう吐、頭痛、動悸などの悪酔いに似た症状が出ます。
また、トリコモナスはパートナーとのピンポン感染(お互いに感染させ合ってしまうこと)が起こりやすいとされています。
治療はパートナーと一緒に、同時に受けましょう。
もちろん治癒するまで性行為は避ける必要があります。
トリコモナスの予防方法
トリコモナスを予防するためには、以下のことを守りましょう。
- 性行為の際にはコンドームを装着する
- 不特定多数の人と性行為をしない
- トリコモナスの症状が出ている相手とは性行為をしない
- 性行為の後に排尿する
トリコモナスに限らず、性感染症の予防にはコンドームの使用はとても効果的です。
もちろん100%防げるという完全な方法ではありませんが、感染率をぐっと下げることができます。
またトリコモナスは、性行為の直後に排尿することで原虫が性器から流れ落ち、尿道への感染を予防できるとされています。
トリコモナス治療・検査の料金
【検査】
保険診療
簡易培養 約1,000円
マイコプラズマ・ジェニタリウムとの同時検査 約2,500円
自費診療 6,000円
【治療】
保険診療 約2,500円
自費診療 9,000円
トリコモナスは治療可能な性病
今回はトリコモナスの症状や原因、治療方法や薬などについてご紹介しました。
トリコモナスは細菌やウイルスが原因となる他の性感染症と、症状は似ているのに使用する薬は全く異なります。
自己判断で市販薬などで対処するのは、症状の悪化や副作用を招いてしまう可能性があり危険です。
トリコモナスの検査や治療をご希望される方は、当院のようなメンズクリニックや泌尿器科・性病科への受診をおすすめします。
ピンポン感染を防ぐために、必ずパートナーと共に治療を受けましょう。

