尿道や肛門、咽頭に明らかに性病を思わせる症状が出ているのに、検査をしても淋菌やクラミジアは陰性。
このようなケースは実は少なくありません。
「マイコプラズマ」「ウレアプラズマ」をご存知でしょうか?
マイコプラズマといえば肺炎を思い浮かべる方が多いと思いますが、性病をおこすマイコプラズマも存在します。
症状があるのに淋病やクラミジアではない方は、マイコプラズマやウレアプラズマに感染しているかもしれません。
今回は性病であるマイコプラズマ・ウレアプラズマの症状や感染経路、検査方法や治療方法などについてご紹介します。
マイコプラズマ・ウレアプラズマとは
呼吸器に感染するマイコプラズマと、性病の原因となるマイコプラズマは、異なる菌です。
ですが、感染する場所も症状も異なりますが、総じてマイコプラズマ感染症と呼ばれています。
マイコプラズマには2種類あり、「マイコプラズマ・ジェニタリウム」と「マイコプラズマ・ホミニス」です。
ウレアプラズマも同様に細菌の1つです。
マイコプラズマと同じく多くの種類が存在しますが、性病の原因菌となるのは2種。
「ウレアプラズマ・パルバム」と「ウレアプラズマ・ウレアリチカム」です。
マイコプラズマとウレアプラズマは細菌学では、同じ種とされています。
感染した際の症状や潜伏期間、感染力の強さも似ているためセットで考察されることが多くなっています。
マイコプラズマ肺炎との違い
マイコプラズマという菌にはいくつか種類があります。
呼吸器に感染するのが「マイコプラズマ・ニューモニエ」と呼ばれる菌です。
症状としては風邪に似て、咽頭痛や怠さ、発熱、咳などがあり、気管支炎や肺炎を引き起こします。
対して、性器や肛門、咽頭などに感染するのが「マイコプラズマ・ジェニタリウム」「マイコプラズマ・ホミニス」と呼ばれる菌です。
マイコプラズマというと、医師の中でも呼吸器に感染するマイコプラズマ・ニューモニエのことだと思う人が多く、性病の原因のマイコプラズマ・ホミニスやマイコプラズマ・ジェニタリウムはマイナーであまり知られていません。
これには理由があります。
日本では、性病の原因となるマイコプラズマ・ホミニスやマイコプラズマ・ジェニタリウムの検査や治療が可能となったのは2012年ごろからと比較的最近のことだからです。
もしかして自分は性病のマイコプラズマ感染症なのかもしれないとお悩みの場合は、性病について詳しい性病科や泌尿器科、そして当院のようなメンズクリニックを受診するようにしましょう。
性病に詳しくない医療機関の場合、正しい検査や治療が受けられない場合があるので注意が必要です。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染経路
マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染経路は、おもに性行為です。
菌自体は比較的弱いため、性行為以外で感染することはほとんどありません。
トイレを共有したり、銭湯などで共有のお風呂や椅子、タオルなどを使ったりしても感染することはまずないとされています。
感染の原因となる性行為とは具体的に、以下のような行為やそれに類似する行為をさします。
- セックス
- オーラルセックス
- 肛門性交(アナルセックス)
- ディープキス など
日本では海外に比べてオーラルセックスが盛んな傾向にあり、特に性器から咽頭への感染や、咽頭から性器への感染が増えています。
オーラルセックスはコンドームをしないで行うことが多いために、感染しやすい傾向にあるのです。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの症状
マイコプラズマ・ウレアプラズマは、性行為によって性器や肛門、咽頭などに感染します。
性器に感染すると男性では尿道炎・精巣上体炎・前立腺炎を、女性では尿道炎・子宮頸管炎を引き起こす可能性があります。
放置すると重症化し、不妊症に繋がることも。
少しでも違和感がある場合には早期に治療を受けるのがおすすめです。
また他の性感染症と同様、感染していても無症状や、ごく軽い症状のみで気づかれない場合も多くあります。
尿道の症状
マイコプラズマ・ウレアプラズマが尿道に感染し、尿道炎を引き起こすと以下のような症状があります。
- 尿道の違和感やかゆみ
- 排尿時の痛み
- 尿道から膿が出る(透明〜白色の膿)
性感染症は尿道炎を引き起こすことが多く、以上のような症状が出る場合には
マイコプラズマ・ウレアプラズマではなくても何らかの性感染症に感染している可能性があります。
該当する場合には早期に専門の医療機関を受診しましょう。
尿道炎を放置すると炎症が広がり、精巣上体炎や前立腺炎に移行する可能性が高まります。
精巣上体炎にまで進行し重症化すると、将来無精子症を起こすことがあり、男性不妊に繋がる可能性もあります。
咽頭の症状
咽頭への感染は主にオーラルセックスやディープキスが原因です。
基本的には無症状であることが多いですが、中には下記のような咽頭炎を思わせる症状が出ることがあります。
- 喉の違和感や痛み
- 咳
- 痰
女性の症状
セックスパートナーからの感染を予防するためにも、女性の症状も知識として身につけておきましょう。
女性の性器に性病のマイコプラズマ・ウレアプラズマが感染すると、尿道炎・子宮頸管炎を起こすことがあります。
その症状は主に以下の通りです。
- おりもの(膣分泌物)の増加や異臭
- 性器の違和感やかゆみ
- 排尿時の痛み など
クラミジアとマイコプラズマ・ウレアプラズマの違いは?
性器クラミジア感染症(通称:クラミジア)とは、国内では最も感染者が多いとされる性感染症の代表的存在です。
主に性行為によって感染し、性器に感染すると男性は尿道炎や精巣上体炎、前立腺炎を引き起こします。
症状としては尿道の違和感やかゆみ、排尿時の痛み、尿道からの膿(透明〜白色)など。
咽頭や肛門にも感染する場合もあり、咽頭に感染した場合は喉の違和感や痛みなどの症状を生じることもあります。
このように感染部位や症状などにおいて、クラミジアとマイコプラズマ・ウレアプラズマは類似している点が多く、検査なしにどちらにかかっているのかを判断するのは困難です。
治療方法は双方ともに抗生剤の内服治療ですが、その治療効果は異なりマイコプラズマ・ウレアプラズマの方がクラミジアに比べて薬の効果が得られにくく、治りづらい傾向にあります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの潜伏期間
マイコプラズマ・ウレアプラズマの潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は、3日〜5週間です。
幅広く個人差があり、行為をしてすぐに症状が出る場合もあれば、性行為をしたことすら忘れた頃に症状が出る場合もあります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査
マイコプラズマ・ウレアプラズマが性器に感染している場合は尿検査、咽頭に感染している場合にはスワブ検査(綿棒でのどを拭う)またはうがい検査で判別されます。
ちなみに女性の場合には尿検査ではなく、膣分泌物での検査となります。
結果が出るまでには7日程度かかり、即日結果が出るような迅速検査は現在まだありません。
感染する機会(性行為)があった直後より検査が可能です。
尿検査は検査前2時間程度尿を我慢した状態で行った方が精度が高くなります。
検査を希望される場合には参考にしてください。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療には以下のような大事なポイントがあります。
完治させるためには、このポイントを守り治療を受けることが大切です。
【ポイント1.治療は抗生剤の内服で行われる】
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療は性病であっても肺炎であっても、菌を殺す抗生剤の内服で行われます。
クラミジアも同様に抗生剤の内服で治療が行われますが、マイコプラズマ・ウレアプラズマはクラミジアに比べて抗生剤に耐性を持っていることが多く、薬の効果が得られにくいという特徴があります。
そのため1回の治療では効果が得られず、症状の改善・完治までに時間を要する場合も。
【ポイント2.処方された抗生剤は最後まで飲み切る】
抗生剤は基本的に1週間分程度処方されます。
この抗生剤は症状が改善しても最後まで飲み切ることが大切。
症状が改善したからと途中で内服を中断すると、殺しきれなかった菌が後ほどまた症状を再発させてしまう可能性があります。
内服治療を中断する前には効果が得られていた抗生剤が、再発後は効果が得られなくなっている(耐性がついている)ことが多く、結果治療に時間がかかることになります。
症状がなくなったとしても、抗生剤は最後まできちんと飲み切るようにしましょう。
【ポイント3.パートナーと一緒に治療を受ける】
ご自身が無事にマイコプラズマ・ウレアプラズマの治療を終えても、パートナーが感染者で無治療だとまたいずれ性行為を通して再感染する可能性があります。
パートナーからの再感染を予防するため、マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療を受ける時には同じタイミングでパートナーも一緒に検査・治療を受けることが大切です。
【ポイント4.完治したかどうか検査で確認する】
マイコプラズマ・ウレアプラズマは抗生剤へ耐性を身につけている場合が多く、一度の治療で完治しない可能性が高い性感染症です。
抗生剤の内服治療を終えたからといって、完治しているかどうかは再度検査を受けてみないと分かりません。
当院では治療終了して2週間後に再検査を行い、完治しているかを確認しております。
検査でマイコプラズマ・ウレアプラズマへの感染が否定されれば完治、感染が確認されれば治療の効果が得られなかったか、もしくは治癒直後に再感染した可能性が考えられます。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの予防方法
マイコプラズマ・ウレアプラズマに限らず、性感染症を予防するためには性行為の際にコンドームを着用することが重要です。
コンドームを着用することで感染の確率を下げられます。
ただし、コンドームを着用すれば100%感染を防げるという訳ではありませんのでご注意ください。
また、オーラルセックスの際にもコンドームを着用するのがおすすめです。
性感染症の大半は咽頭にも感染することが多く、咽頭に感染している相手とオーラルセックスをした場合には性器に性感染症が感染してしまうことに。
咽頭に感染している場合大半が無症状であることが多いため、相手も無自覚のまま行為に臨んでしまう可能性があります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマ 検査・治療の料金
【検査】
保険診療
マイコプラズマ・ジェニタリウム(尿)のみ保険診療での検査が可能です。
約2,500円
自費診療
マイコプラズマ・ウレアプラズマ(尿) 5,500円
マイコプラズマ・ウレアプラズマ(咽頭) 5,500円
【治療】
保険診療 約1,000円
自費診療 9,000円
正しい治療で重症化を防ぎましょう
今回は性病のマイコプラズマ・ウレアプラズマについて詳しくご紹介しました。
マイコプラズマ感染症といえば肺炎が広く知られ、性病を引き起こす方のマイコプラズマやウレアプラズマはかつてはほとんど知られていませんでした。
しかし近年、性病のマイコプラズマやウレアプラズマの患者さんが増加し徐々にその存在が知られてきています。
性病のマイコプラズマ・ウレアプラズマは症状などはクラミジアによく似ていますが、クラミジアに比べて治療効果が得られにくい少々厄介な性感染症です。
他の性病と比べ検査や治療に費用がかかり、症状が重くなければ放置してしまう患者さんも多くいます。
しかしながら、放置してしまうと重症化や不妊に繋がる可能性もあるため、早期に正しい治療を受けることがとても大切です。
もし少しでも「性感染症かも」「マイコプラズマ・ウレアプラズマかも」と思われているのなら、当院をはじめとした専門の医療機関に勇気を出して受診してください。
その勇気が、ご自身や周囲の大切なひとを守ることに繋がります。

