ペニスがかゆい原因は、性感染症もしくは皮膚の病気が考えられます。
かゆみを放置したり、引っかきすぎてしまうと症状が悪化する可能性も。
不適切な薬を使用することでも症状は悪化してしまいますので、自己判断で市販薬を使用せずに、きちんと医療機関に相談することが大切です。
なるべく早く、人知れず治してしまいたいペニスのかゆみ。
困った症状は一体なぜ起きるのでしょうか?
考えられる原因と治療法について解説します。
目次
ペニス(ちんこ)がかゆい。原因は?
ペニスがかゆい原因は、性感染症か皮膚の病気の場合がほとんどです。
性感染症(性病)は、性行為によって感染してしまう病気のことで、セックスはもちろんオーラルセックスでも感染する可能性があります。
性行為を行った相手が喉に感染していた場合は、フェラチオが原因で性病に感染する場合も。
本番行為でコンドームを着用していたからといって安心してはいけません。
ディープキスやオーラルセックス、アナルセックス等での粘膜の触れ合いによって感染するリスクがあります。
もし自分自身が性病に感染している場合は、セックスパートナーに感染を拡げてしまうことにも繋がるため、早期の治療が重要です。
皮膚の病気の多くは、汗をかいて蒸れたり、乾燥しすぎていたり、下着と強くこすれたりすることで発症します。
洗剤などの日用品が免疫系と反応し、アレルギー症状が出ている場合もあります。
かゆみの原因になる性感染症
ペニスのかゆみの原因として考えられる性感染症はいくつか挙げられます。
どのような性病が考えられるのか、それぞれの症状と治療法を解説していきます。
亀頭包皮炎
亀頭包皮炎は、亀頭や包皮の表面に、赤み、ただれ、亀裂、皮むけ、かゆみ、膿などの症状が出る感染症です。
細菌の感染が原因の場合は赤みが強く出て膿も付く傾向にあり、包皮がむくんで腫れ上がる場合もあります。
カンジダ性亀頭包皮炎の場合、白や黄色のカスが溜まり、魚が腐ったような臭いがすることも。
細菌性が疑われる場合、抗生物質の外用薬と内服薬で治療します。
カンジダが疑われる場合、抗真菌薬の塗り薬で治療します。
いずれの場合でも、炎症を抑えるために弱いステロイドを混合するケースがあります。
亀頭包皮炎は治療を開始すると良くなることが多いのですが、市販薬や他院で処方された薬で治らなかった方が来院されることもあります。
その場合は、使用した市販薬や処方された薬の実物や薬品名のメモを持って来ていただけますと治療の参考になります。
ヘルペス
性器ヘルペスウイルス感染症は、性器やその周りに、かゆみや痛み、不快感などを伴う水ぶくれができる性病です。
ぶつぶつの水ぶくれが破れると、排尿時などに強い痛みを生じます。
ヘルペスは感染してすぐに発症しないのが特徴で、2~10日間の潜伏期間があります。
風邪や発熱、疲れやストレスなどで体の免疫力が落ちている時に発症します。
一度感染してしまうと、現代の医学ではヘルペスウイルスを体内から消し去ることができません。
免疫力が落ちると再発を繰り返します。
早期に内服薬による治療を開始し、ウイルスの増殖を抑えることが大切です。
またヘルペスには再発を抑制する再発抑制療法もあります。
梅毒
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌が体内に侵入し、感染する性病です。
感染初期には、感染箇所の近くにしこりが出来たり、足の付け根のリンパが腫れたりします。
しこりのようなできものにかゆみが出る場合もあります。
上記の症状は治療をしなくても1カ月ほどで自然に消えますが、細菌が体内からいなくなった訳ではありません。
治療をせずに3カ月ほどが経過すると、手のひら、足の裏、全身に、小さいバラの花のような赤い発疹が出始めます。
この発疹も治療をしなくても数カ月で消えますが、やはり細菌が体内からいなくなった訳ではありません。
梅毒は、治療をせず数年間放置すると、皮膚や筋肉や骨にゴムのような腫瘍ができたり、心臓や血管、脳など複数の臓器に病変が発生し、死に至る場合もあります。
過去には不治の病とされていましたが、現代の医学では早期から抗菌薬による治療を行えば完治します。
梅毒が疑われる場合は、いち早く医療機関を受診することが重要です。
毛じらみ症
毛じらみ症は、シラミの一種であるケジラミが陰毛に感染して起こる感染症です。
耐えられないほどの激しいかゆみが特徴で、陰毛だけでなく、性器周辺の皮膚も非常にかゆくなります。
性交によって感染することがほとんどですが、タオルや寝具などを通して間接的に感染するケースもあります。
ケジラミは2mmほどの大きさがあるので肉眼で確認することもできます。
毛じらみ症の治療では、ケジラミがいる周囲の毛を専用のシャンプーで15日間ほどしっかりと洗えば完治します。
感染した場所の毛を剃ることも、洗うだけでは取れないケジラミの卵の除去などに有効です。
タオルや寝具を通じて同居しているご家族などにも感染してしまう可能性があるので、早期に医療機関を受診して治療を開始しましょう。
疥癬
疥癬は、ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生して起こる感染症です。
赤いぶつぶつや発疹が出て、非常に強いかゆみを伴います。
疥癬トンネルと呼ばれる赤い発疹が特徴的ですが、性器の近くにしこりができることもあります。
より症状の重い角化型疥癬の場合は、皮膚が白い角質に覆われた状態になります。
性行為をしていなくても、タオルや寝具などから間接的に感染してしまうケースもあります。
ヒゼンダニを確認できれば疥癬と診断できますが、皮膚科専門医が顕微鏡で探しても見つけるのが難しいほどですので、必ず医療機関を受診しましょう。
塗り薬や飲み薬によって1カ月から2カ月ほど治療すれば完治しますが、疥癬が完治した後もかゆみが残る方もいます。
同居家族にも感染させてしまう可能性があるため、早めに病院を受診しましょう。
かゆみの原因になる皮膚の病気
感染症ではなくても、皮膚の病気によってペニスやその周辺がかゆくなることもあります。
放置したり、かきむしってしまうと症状が悪化してしまうので、なるべく早く治療しましょう。
それぞれの症状と治療法を解説していきます。
陰部湿疹
陰部湿疹は、性器の周辺に赤いぽつぽつとした湿疹ができる症状です。
かゆみを伴うことが多いのですが、かきむしると陰部に傷がつき別の感染症にかかってしまうおそれがありますので注意が必要です。
また、慢性化すると皮膚が硬くなることもあります。
陰部周辺は湿気がたまりやすい上に、下着の蒸れやこすれが起こりやすく、皮膚にとっては過酷な環境です。
陰部周辺の皮膚は薄いので、湿疹によって敏感になっているときに刺激が加わると、早期に症状が悪化してしまいます。
治療にはステロイド剤の塗り薬を使いますが、これが皮膚への刺激にもなってしまうため、適切な強さの薬を使って短期間での完治を目指します。
日頃から予防するために、陰部をこすりすぎないようにし、肌に優しい洗剤を泡立てて使い、通気性が良く刺激の少ない素材の下着を着用し、乾燥や下着とのこすれを避けることが大切です。
汗疹
汗疹とは「あせも」のことで、皮膚に小さなぶつぶつが出る症状です。
かゆみを感じることが多いですが、かきむしると症状が悪化したり、皮膚が傷ついて痛みを伴ったり感染症を引き起こしたりします。
汗を分泌する汗腺が詰まり、皮膚の下に汗がたまることで発症するので、日頃からきちんと洗って清潔にしておくことが大切です。
抗ヒスタミン薬やステロイド剤によって治療を行います。
扁平苔癬
扁平苔癬(へんぺいたいせん)は、皮膚や粘膜の慢性的な炎症によって起こる病気です。
皮膚が赤色や紫色に変色したり、ぶつぶつができたり、ただれたり、かさぶたができたりします。
かゆみや痛みを伴うこともあり、性行為ができないほど強く痛む場合もあります。
C型肝炎ウイルスへの感染や薬剤、金属アレルギーなどがきっかけとなり、自分の免疫細胞が異常を起こして発症すると考えられています。
しかし、原因が特定できないまま扁平苔癬を発症してしまう方もいます。
外用薬のステロイド剤や免疫抑制剤、抗ヒスタミン薬によって局所的な治療を行いますが、症状が改善されないケースでは内服薬による治療も検討されます。
扁平苔癬を発症している間に付近にがんが発生することもあるので、定期的ながんの検査も必要です。
市販薬で解決しようとせず、原因の特定やがんの予防のためにも、専門の医療機関を受診しましょう。
股部白癬
股部白癬(いんきんたむし)とは、白癬菌というカビの一種が原因の感染症です。
円形や半円状の赤く小さく盛り上がった堤防状の発疹や、粉をふいたような状態になり広がっていきます。
そこまでかゆみは強くないことが多いです。。
白癬菌はもともと一定数は皮膚に居て温かく湿った環境で増殖します。男性の股間は特に通気性が悪いので、もともといる白癬菌が増殖しやすい環境です。
日頃から股間を清潔に保ち、通気性の良い下着を着用するようにしましょう。
自己判断で市販薬を使うと、本当の原因が違った場合に症状が悪化してしまう可能性があります。
まずは医療機関を受診して、股部白癬なのかどうか、原因を特定してもらうことが重要です。
また、感染拡大を防止するためにタオルなどは自分専用のものを用意しましょう。
ペニスがかゆい。何科を受診すべき?
ペニスがかゆい場合、性感染症か皮膚の病気が考えられます。
放置しておくと危険な疾患でも、現代の医学では早期から治療すれば完治するものもあります。
原因を考え、何科を受診するか判断していきましょう。
性感染症内科(性病科)
かゆみが出る前に性行為を行った場合は、性病の可能性があります。
感染してから発症までに潜伏期間がある性病や、自覚症状がないまま時が過ぎ、時間が経って再発してから気づくケースもあります。
放置しておくと、症状が悪化したり、パートナーや家族に感染を拡げてしまうことも。
死に至るようなおそろしい性病もありますので、必ず医療機関を受診しましょう。
性感染症が疑われる場合に受診するのは、より専門的な性感染症内科(性病科)をオススメします。陰部皮膚を診慣れている皮膚科も対応できますが、あまり多くはありません。
皮膚科
明らかに性病ではないと言い切れる場合は、皮膚の病気を疑います。
がんを発生させる危険性のある病気もありますので、皮膚の病気だからと甘く見ず、きちんと医療機関を受診することが大切です。
神田西口クリニックの性病治療
神田西口クリニックは男性のためのクリニック。
受付スタッフ、看護師、医師すべて男性です。
性病については、さまざまな情報が溢れているからこそ不安も大きいと思います。
なのでまずは些細なお悩みも、ぜひお気軽にご相談ください。
一人ひとりの症状に寄り添い、オーダーメイドの処置処方を行います。
陰部のかゆみについてのよくある質問
陰部のかゆみは市販薬で改善できますか?
軽い皮膚の病気であれば、市販薬で改善できることもあります。
しかし、誤った判断から市販薬を使用すると症状が悪化してしまうこともあります。
早期に確実に完治させるためには、医療機関を受診するのがおすすめです。
陰部のかゆみは不妊に影響しますか?
不妊の原因になることが分かっている性感染症の「クラミジア」と「淋病」(淋菌感染症)のどちらも、尿道にかゆみを生じます。陰部の皮膚には症状は出ません。
少しでも気になる方は医師に相談しましょう。
陰部のかゆみは自然治癒しますか?
軽い皮膚の病気であれば、清潔にし、皮膚への刺激を避けることで自然に治癒します。
しかし、不衛生や強い刺激以外の原因で起こった皮膚の病気や、セックスなどによって感染した性病の場合、自然に治癒することはありません。
放置しておくと症状が悪化し、死に至ることもあるおそろしい病気もあります。
軽い皮膚の病気だと断言できない場合は、早期に医療機関を受診することをおすすめします。
ペニスがかゆいと思ったら早期の病院受診を
ペニス(ちんこ)がかゆい原因や疑われる疾患、治療法について解説しました。
ペニスがかゆい原因は性感染症や皮膚の病気のことが多く、軽い皮膚の病気から、放っておくと全身に症状が広がるおそろしい疾患の可能性もあります。
自己判断は避け、早期に医療機関を受診しましょう。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
監修者

神田西口クリニック院長 鈴木 鑑
2003年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。
2014年都内某クリニックにて性感染症診療に従事。
10万人以上の性感染症患者さんの悩みに寄り添い解決してきた実績がある。
2023年神田西口クリニックの院長に就任。
所属学会・資格
- 日本泌尿器科学会認定 泌尿器科専門医
- テストステロン治療認定医
- 日本性感染症学会
- 日本感染症学会
- 日本化学療法学会
- 日本メンズヘルス医学会